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建築史部会 お知らせ

【建築史部会】第6回建築史部会研究会報告

更新日時:2019.12.26 00:00


2019年12月26日

建築史部会では、「近世中・後期寺院建築調査の最新成果」をテーマに、研究会を開催した。

日時:2019年12月7日(土)13時30分~17時

会場:京都工芸繊維大学松ヶ崎キャンパス東1号館E121講義室

参加者:37名

 

プログラム

発表:鈴木智大(奈良文化財研究所)

「建地割板図にみる近世後期の岡寺本堂再建」

発表:登谷伸宏(京都工芸繊維大学)

「近江国における大規模浄土真宗寺院本堂について―石畠山弘誓寺本堂を中心に―」

コメント:黒田龍二(神戸大学)

総合討議

司会:青柳憲昌(立命館大学)

 

本研究会では、近年調査の機会が増えつつある近世中・後期の寺院建築調査の最新成果に関する発表2題を通して、調査研究の課題と展望について議論した。

鈴木は、文化2年(1805)上棟の岡寺本堂(奈良県明日香村)の脇内陣に納められた2枚の建地割図の調査から、両板図作成の経緯、本堂再建の流れを明らかにし、工匠組織と寺院組織の変遷と採用された構造意匠の関連性を示した。

登谷氏は、寛保2年(1742)上棟の弘誓寺本堂(滋賀県東近江市)について、造営の経緯と工匠を明らかにした。さらに湖東・湖北の大規模浄土真宗本堂との比較から建築的な特徴を抽出し、特に凸形の矢来内と、飛檐の間の余間への取り込みについて、その意義を示した。

黒田氏は、まず登谷氏の発表について、真宗大谷派・本願寺派・真宗高田派の各派で、強い本末関係が建築形式にもあらわれおり、各派内で分類がなされるべきことなどを指摘した。つづいて鈴木の発表について、東大寺大仏殿内の板図を類例として紹介し、岡寺の両板図が作成された後、本堂に納められるまで、両図が額装され、掲げられていた可能性を指摘した。

各発表の質疑および総合討議では、会場参加者からも各建物・文献の解釈をめぐる討議や類例の提示が積極的になされ、近世中・後期の建築調査について課題と展望が共有された。

(文責:鈴木智大)

研究会の様子

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